映画『ダライラマ14世』

(昨年巡礼に行ったインド最北端ラダックの僧院にて撮影。

 早朝、祈りの開始を告げる僧侶たち)

 

今年、八十歳を迎えるダライラマ14世。

亡命先のインドと日本にて

様々な問いに応える姿に魅了されました。


「視野をもっと広げなさい。

 今の日本人は、視野が狭いから

 ちょとした苦痛で、すぐ挫折してしまう。

 世界で苦しんでいる人たち、国に行って

 活動してみなさい。

 そのために、英語を勉強しなさい。

 英語を話せないと世界に出られない。」


祖国チベットを追われ

インドの亡命政権で暮らす子供達は

「あるもので満足しています」と口をそろえます。

 ある女学生は

「足ることを知る精神が大切です」ともいう。

そして、皆、勉強が楽しいといいます。

勉強する理由を

「社会に貢献できる人間になるため」と

目を輝かせながら嬉しそうにいいます。


彼らの精神的リーダーは

ダライラマ14世なのです。


日本の空港でダライラマの到着を

五体投地しながら出迎えるチベット人留学生達。

祖国チベットの素晴らしさ、

チベット人の優しさ、

中国を憎むことなく調和する精神を持つこと、

世の為に貢献できる人間になるよう勉学に励みなさい、

と諄々と説くラマに、涙を流しながら低頭して合掌する

20代の留学生たち。


写真を一緒に撮ろうとお声をかけられると

彼女達はラマに跪こうとします。

いいから、いいから立って、

と促されますが、彼女達は

中腰になってラマの横には立ちません。

その姿が、とても印象に残りました。

ラマと写真を撮るとき、

西洋人も日本人にも、こうした姿勢は見られません。


「私は60億の中のただ一人の人間にすぎない。

 神でもなければ、悪魔でもありません。」

それは事実なのだけど、

チベットというカルマの中で生きる人達に

とってのかけがえのない存在、

そして、日本を含め混沌としている

世界中の人類にとって、

仏教の叡智を身をもって示して下さるお方。


渋谷のユーロスペースにて公開中です。

日本人すべてに観てもらいたい映画です。