私の原点

比叡山の「堂入り」が始まったと

ニュースで知りました。

報道に取り上げられるほどの

過酷な修行であり、また人々も

心の何かを求める時代なのかな、

と思いました。

 

「堂入り」とは、千日回峰行の修行で

9日間、断食・断水・不眠・不臥で

不動真言を唱え続けるという修行。

 

私が発心(仏門に入ること)したのも

この千日回峰行がきっかけでした。

 

今から28年前、高校一年の時に

テレビで上記のドキュメントを観て

とてつもない衝撃を受けました。

「こんな人生があって、

 そこに命を捧げる人間がいるんだ」

 

その頃の私は、心身のどん底状態で

日々の生活や将来にも絶望し、

疲れきっておりましたが、

回峰行者の映像と宗次郎のオカリナは、

心にスーッと染み入ってきて、

心と精神が救われました。

 

それからは自宅でお経を上げたり

休暇にお寺へ体験修行に行くなど

高校生活を仏教色で過ごしました。

私が今あるのは、この番組のお陰と

いっても過言ではないのです。

 

ご縁があって、日蓮宗の僧侶になりましたが

私の中では伝教大師最澄も天台宗も

リスペクトしている大切な存在です。

 

そして、何より酒井大阿闍梨に

御礼を伝えたくて、生前に伺った事があります。

非常に気さくな方で、

「天台宗に出家せず、日蓮宗で良かったよ。

 日蓮さんも比叡山に愛想尽かして

 山下りちゃったんだから。ハハハ~」

と笑い飛ばしておりました。


数年前、比叡山で回峰行者と

すれ違ったことがあります。

 

白装束で向こうから歩いてくる姿は

カミソリ刃のようで、寄らば切るぞ!

という張り詰めた雰囲気を漂わせていました。

 

「行者さんだ!」と緊張しながら

すれ違う瞬間、それまでの厳しいお顔から

とても穏やかな笑顔で低頭しながら挨拶して

下さり、本物の行者の品格を実感した思い出があります。

 

酒井大阿闍梨さんも亡くなり、

28年前の番組もネットで一部を観る事しか

出来ませんが、全編視聴できる場所を見つけました。

 

横浜に「放送情報センター」という

過去の番組を無料で視聴できる施設があります。

http://www.bpcj.or.jp/

幸いに、この番組も所蔵されており

過日、久しぶりに全編を観ることが叶い

胸が熱くなりました。

関心がある方は、HPで詳細をお調べ下さい。

 

堂入りも今日で4日目、21日が満行となります。

今現在も、命をかけて

世界の為に、人々の為に、

祈りに打ち込んでおられる行者が

いらっしゃるのです。